====== 内容紹介 =======
加藤誠軌著(内田老鶴圃)
陶器、磁器、陶磁器、硝子、窯業、ファインセラミックスなどの言葉がいつ頃できたのかご存知ですか。
現在の日本は陶芸天国で「やきもの」の本は無数にありますが、工学の視点から書いた「やきもの」の本はごく僅かです。「やきもの」を専攻する研究者は工学部にはいなくなりました。先進セラミックスに転進したのです。
「やきもの」は一万数千年の歴史をもっていますが、最新の IT 関連機器には先進セラミック部品がたくさん組み込まれています。たとえば携帯電話には芥子粒よりも小さなセラミックコンデンサーが 200個以上も使われています。電子セラミックス産業は伝統的な「やきもの」産業を凌駕して急速に発達しています。そしてこの分野では日本企業が圧倒的な技術力をもっています。
本書は、伝統セラミックス、先進セラミックス、そして天然セラミックスについて総合的に解説した最初の成書です。そしてハイテクからローテクまでセラミックスの全般について新しい概念を提示しました。
第5章セラミック芸術では、「真贋」についても論及しました。セラミックスの国宝がいくつあるかご存知ですか。日本人の美意識は外国人から見るとかなり異質です。1563 年に来日したイエズス会司祭のフロイスは報告書の中で「日本人はひびが入った古い陶器や土器を宝物とする」と書いていますが、これは現在まで続いています。日本人だけが「歪んだ陶器」を評価するのはなぜでしょうか。
A5版・324ページ、本体価格3800円(税別)
1 セラミック材料についての基礎知識
1.1 伝統セラミックスについての基礎知識
1.2 天然セラミックスについての基礎知識
1.3 先進セラミックスについての基礎知識
2 無機物質についての基礎知識
2.1 元素と原子についての基礎知識
2.2 物質と材料についての基礎知識
2.3 結晶構造についての基礎知識
3 地球と岩石についての基礎知識
3.1 宇宙の構造
3.2 地球の構造
3.3 岩石の形成と生命の歴史
3.4 石器の進歩4 「やきもの」についての基礎知識
4.1 「やきもの」の発明
4.2 西方世界の「やきもの」
4.3 東洋の「やきもの」
4.4 日本の「やきもの」
4.5 「やきもの」の技法
5 セラミック芸術
5.1 セラミック工芸
5.2 ガラス工芸と七宝
5.3 完璧の美と不斉の美
5.4 「やきもの」の真贋
6 セラミック教育
6.1 日本人の資質
6.2 近代日本の技術教育と成果
6.3 戦後日本の技術開発と成果
6.4 先進セラミックスに何が必要か
加藤先生の他の書籍[ やきものの美と用 | 標準教科 セラミックス ]